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見城徹

20歳の僕の中にも確かにグレタはいた。ただ決定的に違うのは僕は暗くて憂鬱だった。発言しないよりした方がいい。しかし、その発言を実行に移す時、人は現実という踏み絵に試される。僕にとってそれは命を賭けるということだった。共同体での将来を捨てるということだった。だから、僕は自分の抱いた観念から逃げた。僕は明るい顔をして自己陶酔気味に、 「私は戦争に反対です!」 と声高にいう若者が嫌いだ。戦争に賛成の人なんかいない。戦争に反対なのは当たり前だ。しかし、世界はそんな単純に出来ていない。グレタはまだ夢の中にいる。グレタが世界と泥まみれになって格闘した時、グレタの人生が始まる。

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