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吉田真悟

まるで一本の映画を観ているような臨場感でした。拉致被害者の方々のご家族が、長い長い間戦い続けていらっしゃる事は知っているし、拉致は全く許されない事だと考えている。また、北朝鮮の国内での貧富の差、権力の偏りも知識として知っていた。ただ、それでいて「映画のようだ」と感じてしまうのは、私がこの問題をどこか他人事にしてしまっているからだと実感し、恥ずかしく、改めて見直す視点を持つ事ができた。もちろんフィクションなので、彼の国の方の気持ちも被害者の心情も想像するしかないのだけれど、国の理不尽への怒りや、祖国を切望する心はこのようであって欲しいとも思う。亡命した彼らも、助けられた拉致被害者も、それを助けるべく集まった海の男たちも、色々な思惑を交えず一つになったようなラストに安堵し、現実の拉致問題も進展、解決される事を望んでやみません。
(明文堂書店TSUTAYA戸田 坂本まさみ) 個人の想いなど国家の権力の前では塵芥のようなもの。けれども、消えてなくなるわけじゃない。運命に抗うものたちの闘いが大衆を動かすことになる。海上に響く慟哭を無視することはできない。歴史が変わる瞬間を目撃したのだと思います。
(明文堂書店氷見店 前花祐太)   妙にリアルで手に汗握る極限展開。登場人物全員にそれぞれの事情があり、「全員助かってくれ…頼む!」と願いながら読了した。日本を美化するでもなく、“実際そうだろうな”と感じる描き方は好感を持った。そこまで分厚くはないのに、この熱さ、ボリューム感は凄いと思う。
(喜久屋書店橿原店 井上七海)   どこで息を継げばいいのかわからずページをめくり続けてしまいました。どんなに強い意志があっても「国」という大きな壁に翻弄される姿に胸が苦しくなりました。
(岩瀬書店富久山店 吉田彩乃)   涙が止まらない。現実になればどんなに良いか……。こんな未来が訪れる事を心から切望する。潜水艦同士の戦闘、手に汗握る攻防に、読み手の私まで息苦しくなってしまいました。国と国との時の対処法、日本という国がとても良く表されていました。いざという時、動くのは市井の人なんだろうなぁと。あってはならない「拉致」という問題に取り組んだこの作品。それぞれの後悔やトラウマを背景に、目を背けてはいけない人間ドラマが描かれている。そしてある日突然、自由も家族も友人も、国さえも奪われた人たちがいるという事実を心に留めて自分に何が出来るのかを考えてみたい。現在進行形のこの問題が、1日も早く解決する事を強く望みます。
(文真堂書店ビバモール本庄店 山本智子)   約2時間半で一気読み! これは久しぶりに凄いミリタリー・ミステリー作品でした。潜水艦の戦いでグッとくる小説と言えば『レッド・オクトーバーを追え』もしくは『ハンターキラー』でしょう。両作品とも映画化された傑作でした。そしてこの作品。いままで読んだことがなかった設定である、北朝鮮軍の老朽潜水艦が繰り広げる潜水艦バトルが新鮮かつ興味深い。またそこに北朝鮮軍の内情が加味され、リアル度が増しております。個人的にですが『土獏の花』を上回るテーマとストーリーだったと思います。またしても読ませる小説でありながら、考えさせられる小説でもありました。
(谷島屋ららぽーと沼津店 小川誠一)

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