三上雅博のトーク
トーク情報- 三上雅博
三上雅博 会員制の店ではイカに1000回くらい包丁入れたりする。
夏でもダウンを着るくらい寒くして、手を氷水で冷やしてイカの死の瞬間に包丁を入れていく。
鮮度が良すぎると細胞がまだ動くので細かく包丁を入れられない。
かと言って時間が経ちすぎると身がねっとりしてくる。なので細胞が動かなくなる「死の瞬間」に包丁を入れる。そのタイミングは夜中だったり昼間だったり朝方だったりする。こちらの都合で仕込みできない。包丁した後もまだ手当ては続く。
そういう仕込みばかりしている。何もイカに限ったことじゃ無い。どれだけ時間をかけても、どれだけ犠牲を払っても、どれだけ命を削っても、僕の頭の中の全てを形にする事は叶わない。 三上雅博 見城徹見城徹 藪医師とは僕がやり始めたばかりの755で知り合った。ただ熱心に755に投稿する都立駒込病院の無名の外科医だった。毎日のように午前中は消化器(特に大腸)の悪性腫瘍の手術をし、午後の診療勤務が終われば時にかなりの量の酒を飲み、それ以外は原稿を書いることが755から伝わって来た。僕のトークにやじコメして来ていて、僕も返信していたのだが、ある日、原稿を送りたいと言って来た。やむなく了承し、読んでみると書かずにはいられないものを抱えていることがよく解った。これはモノになると直感した。幻冬舎に来てもらって初めて会い、その原稿を手直しの上、出版することになった。それが[幸せの死のために一刻も早くあなたにお伝えしたいこと]という藪医師こと中山佑次郎のデビュー作になった。その後、ベストセラーとなった[医者の本音]や処女小説[泣くな 研修医]などを矢継ぎ早に出版、医師としても福島県双葉郡の高野病院の院長を経て、今は福島県郡山市の総合南東北病院の外科医長として活躍している。藪医師と僕の関係は755がなければ成立しなかった。藪医師の結婚披露宴では僕が新郎側の主賓としてスピーチをした。
755の奇跡だと僕は思っている。