物理的に言えば、｢トルク｣はそのエンジンが持つ"力"そのもので、｢パワー｣はそこに時間(回転数)が絡んでくる"仕事量"ですね。 実際にダイナモ等で計測出来るのは｢トルク｣で、｢パワー｣はそこから計算で導かれます。 ｢パワー｣は、｢トルク｣×｢回転数｣÷｢720｣(←だいたいです。正確な数値は失念したので凡その数字です)で出せます。 上の記事の出力特性だと例えば、9500回転の時、約160馬力と約12kgm(1kgm=約9.8Nmなので、解り易く118Nm=約12kgmで表します)となっています。 すると、12kgm×9500回転=114000、114000÷720=158.3馬力(720が正確だともっと近い数値になるはずです)となります。 で、実際にはフリクションロスや空気抵抗等の損失、エンジン特性等の影響が有りますが、加速力には｢トルク｣、最高速度には｢パワー｣が重要と言われています。 人を例にすると… Aさんは10kgの荷物を持ち上げる事が出来て10m先まで運ぶのに10秒かかる。 Bさんは5kgの荷物を持ち上げる事が出来て10m先まで運ぶのに5秒かかる。 とします。 この場合、AさんはBさんの2倍の"力"(トルク)があって、BさんはAさん2倍の速さ(回転数)で運べるという事になります。 加速とは車体という"重量物を持ち上げる"行為なのでAさんの方が加速重視とります。 一方、最高速度は持ち上げた重量物に付いた慣性を維持しながら移動させる行為なのでBさんは加速は遅くても速度重視という事になります。 が、エンジンの回転数(rpm=1分間の回転数)に置き換えると、Aさんは6回転、Bさんは12回転という事になりますので、"仕事量"として見ると、AさんBさん共に1分間で運べる荷物の重さは60kgで同じ"仕事量"となります。 実際は、持ち上げる重さも運べる速さも範囲があるので、それがエンジンの特性になるのですね。 昔は、同じ3リッターのエンジンでも4気筒だとピストンが大きく1つ辺りの爆発力が大きいのでトルク重視、6気筒だとピストンが小さくなり1回転辺りのピストンスピードが遅くなり回転数が上げ易くなるのでパワー重視という見方が出来ましたが、今は技術的な進歩で一概には言えなくなりました。