見城徹見城徹2019年11月02日 08:20↑ 五木寛之さんと[ガウディの夏]の取材のためにバルセロナに行ったのは40年前だ。前作のイランを舞台にした[燃える秋]が大ヒットしたため僕の依頼に答えて連載を引き受けていただいた。バルセロナは美しい港町だった。昼はガウディの建築物を丹念に見て廻り、夜はシーフード・レストランの新鮮な料理に舌鼓を打った。 確かに五木寛之さんが言う「めまいの感覚」がバルセロナにはあった。真昼間からバールで時たま飲む白ワインがその感覚を加速させた。 まだガウディが日本でそんなに知られていなかった頃のことだ。五木寛之さんの隠喩と暗喩を散りばめて重層的に物語を構築する天賦の才能には舌を巻く。1