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見城徹

渡辺淳一さんはとにかく女性が好きだった。「男といるよりはどんなにブスでも女性がいい」と言い続けた。あっけらかんと率直に女性への執着を隠さなかった。作品も殆ど全てが女性との性愛で貫かれている。渡辺淳一にとって女性との性愛こそ生きる意味の根本だった。女性を描けば描くほどそこには死の影が裏側に張り付いていた。渡辺淳一は作品が次々とベストセラーになり、幸せな家族があっても常に苛立っていた。生まれ落ちた者が宿命として背負う死という虚無の前に佇んでいた。つまり、女性への憧憬はその虚無を薄めるための幻影と同義だった。追っかけても追っかけても自分の手からするりと抜けて行く女性との幻影。死をもってしか性愛は完結しないこと、性愛こそ生きることそのものだと渡辺淳一は感知していたのだ。それ以外には生の超越はないと。性愛の完結としての死。渡辺淳一の作品は夥しいほど死の影に彩られている。[シャトウ ルージュ](文藝春秋)という長編小説がある。僕は渡辺淳一の最高傑作だと思っている。全てのしがらみを捨て、全ての共同体の則を超えて地獄にも見える性愛の官能に戻って行く女。ポール・ボウルズの世界的名作[シェルタリング スカイ]を思い起こさせる作品だが、その[官能と虚無]においてポール・ボウルズを凌いでいる。癌に蝕まれた肉体に鞭打って書かれた渡辺淳一最後の小説[愛 ふたたび](幻冬舎)はそういう意味では渡辺淳一のすざましい性愛への執念が描かれていて、成功作とは言えないが胸を打つ。

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見城徹のトーク
トーク情報
  • 見城徹
    三上雅博三上雅博

    小さく狭いお店なので皆様にはご迷惑をおかけすると思いますが、755の皆様にお会いできると思ったらワクワクが止まりません。

    作戦開始だ。

  • 見城徹
    見城徹

    昨日からボクシングを始めた。いきなりリングに立ってパンチの出し方を教えてもらった。トレーナーは元・キックボクサーでタイで試合に出ていたと言う。教え方が凄く理論的で解り易い。運動神経が鈍いので直ぐに実践出来なくて申し訳ない気持ちになったが、約1時間、汗を流した。

  • 見城徹
    見城徹見城徹
    投稿画像

    [007 スペクター]でのダニエル・クレイグ。痺れるくらいカッコいい。トム・フォードのスーツにマリネッラのネクタイが鍛えられた体によく似合う。昨日、このマリネッラの同じ柄のネクタイをSD Iの藤枝さんからプレゼントして戴いた。マリネッラはナポリの老舗タイ・ブランドで藤枝さんはマリネッラの輸入総代理店SDIの専務取締役なのだ。僕の007 好きを知っていての粋な計らいである。嬉し過ぎる。感謝感激。

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  • 見城徹
    藤枝惠太藤枝惠太

    007好きの見城さんに是非していただきたいとプレゼントさせていただいた007タイ。

    初めてお会いした見城さんは007のボンド同様の圧倒的なオーラ。圧倒的な努力による見識と優しさに痺れました。

    そしてあれから3年半が経ったにも関わらず、その事を見城さんがReTalkされていた。

    思い出していただいたことに感謝感激です。
    ご丁寧に有難うございます。

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  • 見城徹
    見城徹

    朝から悩んでいる。何かに悩んでいるとかでは無しに、歳を重ねること自体に悩んでいると言った方がいいかも知れない。若い時は問題にならなかったことが、この歳になると問題になる。65歳を過ぎたあたりから歳を取ることの苦しさが身に沁みて来た。石原慎太郎さんは73歳の時はどうだったんだろう?と思い出してみる。自分と奥様の死後に出版して欲しいと託された石原慎太郎さんの自伝[「私」という男の生涯]をパラパラとめくる。読む度に新鮮な発見があるが、当然ながら答えは出ない。加齢。老化。厳粛な事実。ボクシングのトレーニングを始めてもそれには逆らえない。
    「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」
    [方丈記]の冒頭が胸に刺さる。